最近のアメリカ映画を観て思うこと~アメリカ、日本、中国~

アメリカで製作された映画は、基本、世界各国で上演されます。そのシステム(システムと呼べるか分かりませんが、ほとんどの映画がそうなっているように思います)が確立されているので、過大な製作費をかけた映画で無い限りは、利益がでるのではないでしょうか?また、周辺事業も儲かります。DVD、キャラクターグッズなどです。

この映画産業に目をつけたのが、中国です。アメリカ人スタッフを使って、外観上、いかにもアメリカ映画のように見せますが、実は、資金提供はすべて中国映画製作会社。外観上取り繕っても、分かってしまうのが中国らしい。

なぜ分かってしまうのか?

随所に、自己主張が出てくるからです。例えば、俳優に欧米人だけ起用すればいいのに、そこに何の脈略もなく、中国人俳優が突然出てくるとか、舞台がいきなり中華圏、東南アジアに変わるとか、どうも彼らは、投資資金のリターンだけ求めるということだけはできないようです。

悪いことではないのですが、日本人のように「周りの空気を読む」ということが下手なので、しょうがありません。

このような状況の中で、日本の漫画、キャラクターがアメリカ映画として実写化され、人気になることが昨今多いような気がします。

それは取りも直さず、アメリカ映画界のネタ不足が上げられるのではないでしょうか?

マーベル、DCコミック、往年のディズニーキャラクターが、昨今の映像技術の進歩により、実写化され、キャラクターグッズとともに売上を上げていく。映画業界としては、一粒で2度、3度美味しいといった構図が描けます。ただ、これとて有限です。

そこで、アメリカ映画業界が目をつけたのが、日本の漫画、アニメキャラです。漫画は絵ですので、小説を映像化するより、イメージがつきやすく、わかりやすい。しかも、ストーリー性がある。日本の漫画、アニメキャラが世界に輸出される理由です。

私は、「万引き家族」のような映画も評価されて当然と思いますが、日本が世界に誇る漫画を、世界公開を前提に、日本の映画界で実写化することができればな〜とつくづく考えてしまいます。

皆さんはどのように思われますか?

映画「グリーンブック」を観て~久しぶりのほのぼの映画です~

本作品は、先日行われたアカデミー賞で、作品賞を受賞した映画です。実話に基づく映画であり、1962年というまだアメリカの人種差別が残っている時代の、イタリア人運転手と天才黒人ピアニストのロードムービーです。

日本に住んでいますと、人種差別というものをあまり経験したことがないので、実感として伝わりづらいところがあると思います。ただ、それを抜きにして、まったく性格、生まれた環境も違う2人が、雇用関係というものはあるが、1台の車で約2ヶ月間一緒に旅をし、雇用関係、肌の色といった差別を超えたところに友情を見出す。

★★★★・・・自分の考え、行動に変化をもたらすようなことだが、ショックを受けるまでにはいかないことの場合。

私は、1972年に公開された山田洋次監督、高倉健主演、倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおりなども出演していた名作「幸せの黄色いハンカチ」という映画を思い出します。ロードムービーという点で共通していますし、車に同乗する高倉健、武田鉄矢、桃井かおりのやり取りが本作品と同じように面白い。

映画というものは、約2時間の上演時間で、観客の印象に残るもの、時間とお金をかけてわざわさ映画館に行って観るに値するものを製作するということが最も重要と思います。そのためには、まず、設定されるシチュエーションが重要です。

ロードムービーというものは、限られたシチュエーションがまず設定され、車の中での主人公の会話、やりとり、そして、次々と変わる場所での事件、といったものが物語を構成していきます。そういった点では、本作品の主人公2人の演技力は素晴らしいと思います。

毎日、ガツガツ、セコセコといったことが多い中で、久々に「ほのぼの」する映画を観て、気持ちが落ち着きました。是非、そのような気分を味わいたいのであれば、オススメの映画です!

映画「ギルティ」を観て~自分の保身だけの嘘は身を滅ぼす~

本作品はデンマーク映画です。過去のデンマーク映画を調べてみると、毎年ほんの数本しか日本では公開されていません。そんなデンマーク映画ですが、本作品を観たいと思った理由は2つあります。

1)アメリカ映画の「ソウ」に代表されるようなシチュエーションスリラーと、予告編を観て感じたから。

2)数々の映画賞を受賞しているから

以上2点です。

私はこれまで8作品も続いている「ソウ」シリーズが大好きです。人間の追い込まれた極限状態のドキドキ感は半端ありませんし、特に、1作品目の「ソウ」は、ストーリー仕立ても、最後のドンデン返しで、「えっ!」と息を呑むような展開が隠されていて、最後まで飽きさせない展開に驚きました。

そんな雰囲気を漂わせる予告編と、デンマークという決して映画産業が盛んな場所ではないところで製作した映画が、数々の映画賞を受賞しているということで、興味を惹かれ、鑑賞しました。

結果・・・

★★★☆3.5点ということです。

3.5点という中途半端な点数を解説しますと、映画としては相当に面白いが、自分に置き換えて、そこに自分の行動がこれから変わるようなショックを受けるようなことが描かれていたか?と問われると、そこまではいかないな・・・と感じる映画だったからです。

警察で、審問を要することをしてしまった主人公が、現場復帰できるか?できないか?審問が行われる前日に、一時的に緊急電話受付担当をすることに・・・といった精神的な不安定さの中、誘拐犯?殺人犯?からの電話対応で、追い詰められる主人公。その精神状態の変化を見せる映画。最後に、題名の「ギルティ」=有罪の意味がわかるストーリー展開。

先般、「アリータ:バトルエンジェル」では、シチュエーションを現実逃避させることで、描くことが約2時間の映画の満足感をアップさせるといったことを書いたように思いますが、本作品を観て、それとは逆に、状況、場所を絞り込むことにより、集中して描ききることも映画の面白さをアップさせると感じました。

映画「アリータ:バトルエンジェル」を観て~映画の世界とドラマの世界の違い~

先日公開された「アリータ:バトルエンジェル」を観てきました!原作は日本人:木城ゆきとの書いた漫画「銃夢」で、その映画化を熱望していた、映画「アバター」・「タイタニック」で有名なジェームズ・キャメロンが製作をしています。

頭脳だけが人間で、身体は機械というサイボーグが多く存在する未来。どのような撮影技法?でサイボーグと言われるものを映像化できたのか?詳しいことは分かりません。ただ、その映像は何の違和感もなく、我々を未知の世界に誘ってくれました。

また、その映像をIMAX 3Dで観ますと、その迫力は半端ありません。

★★★★・・・自分の考え、行動に変化をもたらすようなことだが、ショックを受けるまでにはいかないことの場合。

ストーリーも、原作が日本の漫画なので、よくできており、この映画がヒットすれば、続編も製作されるのでは?といった今後の期待感も膨らんでしまいます。特に、主人公がサイボーグ用の格闘技の奥義「パンツァークンスト」の使い手であったというあたりは、日本の空手、武道を思わせるもので、さすが!と拍手を送りたくなるような気持ちになります。

また、人間とサイボーグとの恋愛、サイボーグが彼氏のために、自分の心臓を差し出して、これを売ってお金にして・・・という場面は、本当の人間以上に、人を思う力がすごいと思わせるものでした。

このような世の中が、私が生きている間に、到来するのか?分かりませんが、人間の脳を持ち、身体は機械ということが実現できれば、脳さえ生きていれば、人は死ななくてよいのです。人が死なない世界・・・死への恐怖はなくなりますが、身体が機械・・・でも、死ぬより身体が機械の方がいいという方を私も選択すると思います。

昨今、アメリカでは連続ドラマ流行りのようですが、約2時間の映画の世界で、何を表現するのか?現実世界では、細部に渡る表現をしなければ、リアリティー感が出せないので、ドラマに譲るとして、映画の世界は架空の世界、未来社会を設定し、我々に夢と希望を見せてくれるという形がよいように思います。

映画「ナラタージュ」を観て

ダメダメではあるが、優しい気持ちをもった先生を好きになった、女の子のお話しです・・・と一言で言ってしまえば終わりですが、島本理生原作の恋愛小説を映画化したものです。

★・・・私がインプット(経験)したことが、全く時間の無駄であった場合。

なぜこんなダメダメ先生を好きになってしまうのか?人生の中で、最も多感な高校生時代に、友達からスポイルされたときに、手を差し伸ばしてくれた先生だからと思ってしまいます。おそらくそんな簡単な言葉では済まないとは思いますが、人間の感性とはそのようなもののような気がします。

ただ、この映画が公開された時に、主役の有村架純自身が、インタビューに答えていたのが印象に残っています。

確かこのような質問だったと思います。

「こんな先生を有村さんは好きになりますか?」という問いかけに対して、「いや、なりません。こんな何を考えているかわからない人を好きになることはありません。」

ということで、男の立場から言わせてもらえば、「先生なんだから、もっとシッカリしろ!!」と叫びたくなるような映画でした。

映画「フォルトゥナの瞳」を観て

百田尚樹原作の小説の映画化です、彼は元放送作家ということもあり、これまで「永遠の0」「海賊と呼ばれた男」など、数々の作品が映画化になっていますが、どの作品も、映像化したときに、見栄えのする設定とストーリー展開となっています。まさに映像化を前提に作品を書く放送作家としての面目躍如といったところでしょうか。

本作品も、人の死を予知できてしまう能力を持った青年と、恋人の純愛物語といった設定自体は、真新しいものではありませんが、「運命」「愛」「自己犠牲」といったテーマをそこに重くない程度に乗せて、考えさせられてしまうのは、すごい!としか言いようがありません。

★★★★・・・自分の考え、行動に変化をもたらすようなことだが、ショックを受けるまでにはいかないことの場合。

ここからは、ナタバレになりますので、気をつけてください!

劇中の言葉で、「人は朝起きてから、寝るまで大小さまざまな選択を9,000回している」ということです。なので、「これが運命です」と決められたくない。まさにその通りと思います。こんなにたくさんの選択をしてきて今の自分がここにあるわけで、それが運命というもので、最初から決まっていたなんてことは、あってはならない、納得できないということです。

「運命は変えられる」 日々繰り返される9,000回/1日の選択をしてきた末、ここに自分が立っているからです。

また、フォルトゥナの瞳という、ほしくない能力を持ってしまったために、見えた他人の死を回避する行動にでると、自分の寿命が縮んでしまう・・・だから、見えて予知できたとしても、関わるな・・・ということが正解なのですが、大事な人、守りたい人、愛する人には、伝え、守りたいという気持ちを抑えることはできない。最後に、主人公は唯一この瞳もを持ってしまったことに感謝します。それは愛する人に出会え、初めて傍観者から積極的に動く人に自分を変えることができたことに対してです。

現在の世界人口約75億人のうち、人生80年として、自分と何らかの接点を持つ人30,000人、同じ学校、職場、近所の人3,000人、親しく会話をする人300人、友人30人、親友3人と言われているようです。これまで、私は人生の選択を積極的にしてきたことが、あまりなかったような気がします。また、先ほど書いた自分の一生で出会える人についても、いろいろな出来事があったために、私の場合は上記数字の3分の1以下になっていると思います。

そんな私が、今思うことは、人生を何回か繰り返して生きることができたとして、2回目、3回目・・・の人生でも、同じ選択ができるようなことを今、選ぶということです。今までも私は自分の選択を後悔したことはありませんが、これからは特に、直感プラス自分の信念といったもので、選択していきたいと思います。

映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」を観て

東京五輪・パラリンピックの開会式・閉会式の演出チームにも選任された山崎貴監督で、西岸良平原作のベストセラーコミック「鎌倉ものがたり」を2017年に映画化した作品です。

私はコミックは読んでいませんので、なんとも言えませんが、映画として観た場合には、一言でファンタジーとしか言えない映画です。しかもその舞台が、鎌倉。確かに鎌倉という場所は、江ノ電を中心に、ファンタジーが似合う場所です。その中で繰り広げられる、ほのぼのとした、夫婦愛、家族愛。

★★★・・・何かしらの気付きは得られるが、それが、自分の考え、行動まで変えるような影響を与えることではない場合。

映画としての、ドキドキ感、ハラハラ感を感じる場面がなく、ほのぼのという言葉が合う作品です。

このような映画を良い!と感じる方も多いと思いますが、私にはなんとなく物足りなさを感じます。映画ですので、約2時間で、ハラハラドキドキ感を終始感じるか、あるいは、作品から何か学べることがあるか、といった、どちらかを私は映画には期待します。

本作品のように、鎌倉という現実にある都市の中で、たまには現実逃避してみるのも悪くないのではないでしょうか?

映画「アクアマン」を観て

先日公開された「アクアマン」を3D・IMAXシアターで観ました。

DCコミックで映画化された作品としては、No1のヒットを記録している作品ということで、期待しておりました。

水没したアトランティス帝国の末裔として、地上の人間との間に生まれた主人公。同じ母を持つ弟との帝国王者の地位を巡る争いを経て、正式な王者として認めらるまでを描いた物語です。

★★★・・・何かしらの気付きは得られるが、それが、自分の考え、行動まで変えるような影響を与えることではない場合。

先般大ヒットしたマーベルの「ブラック・パンサー」と同じように、架空の帝国が舞台となっており、その帝国は我々の文化よりはるかに進歩した文化であるということ。「ブラック・パンサー」は地上の帝国でしたが、本作品は海中です。また、同じように王位継承問題がそこにはある。

設定が似ているこれらの作品がなぜヒットするのか?

それは、進化したヒーロー像を求める視聴者がいるからだと思います。

現代を舞台に、悪とヒーローが対峙する物語というだけでは、面白くない!(お金持ちが作り出した「アイアンマン」「バットマン」といったヒーロー)そこに、コメディの要素、ダークな要素、物語の設定自体が異次元など、これまでになかったヒーロー像を構築しなければ、飽きてしまうという視聴者のニーズが存在します。

プラス、3D・IMAXといった、臨場感満載の視聴覚効果を得られる劇場システムが視聴者のドキドキ感を増幅させます。少し待てばDVDが発売されるからと考える方もまだいるとは思いますが、多少お金を余分に払ってでも映画館に足を運ぶ人は、この増幅されたドキドキ感を楽しみたいためと思います。

映画には、そこから何かを学ぶ?感じる?映画もあると思いますが、本作品のように、単純にスカッとガッツポーズを送るような映画もあっていいように思います。ストレス発散!!という感じでしょうか。

映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」を観て

親子3代に渡って受け継がれた料理レシピの物語。戦争という激動の時代背景にありながら、料理を通して日中国交を果たした一徹な料理人と、それを支え、3代にも渡ってレシピを引き継いだ家族。

★★★★★・・・これまで経験したことのない、ショックを受け、劇的にこれまでの自分の考え、行動が変わる場合。

この物語には、中小企業のオーナー経営者にも通じる、事業に対しての「真剣さ」「誠実さ」「優しさ」「真面目さ」「ブレない心」「継続性」といったものすべてが内包されています。

また、それが最後の3代目に引き継がれるまで、本人も知らなかった。(料理人になったこと、レシピを引き継がれること)というところに、初代祖父の、人間としての素晴らしさ及び料理人としての才能の素晴らしさがあります。

このような物語を観ますと、人間としての原点に立ち返れます。

自分が目指すべきものがあり、それに対して「ブレない心で、真剣に、誠実に、真面目に、継続して取り組む」ただ、それが行き過ぎると、時として、自分しか信じられない、自己中心的な考え、行動を取ることがあります。

それではダメなのです。この物語でも、主人公には、自分しか信じられないといった考え、行動を改めるきっかけがありました。それは、祖父は妻の死、3代目は、彼の友人と、祖父を知りレシピを引き継いだ祖父の近くにいた人たちです。

そして、人は成長します。

自分の心の成長は、何歳になってもできます。唯一、それを阻むものは、自分の心に自分で蓋をしたときでしょう。

久々に様々なことを考えさせる映画に出会えました。

映画「七つの会議」を観て

今、映画化、ドラマ化される原作が最も多い小説家、池井戸潤氏原作、野村萬斎主演の映画「七つの会議」を観てきました!

映画としては、現在の日本映画では欠かせない俳優(香川照之ほか)がまわりを固め、非常に見応えのある作品に仕上がっていました!

題材も、経済界を実際に揺るがした「リコール隠し」を題材として取り上げ、日本ではブラック企業と言われるであろう会社の実態、経営者の怠慢、見栄、傲慢さなど、随所に悪しき日本企業文化を描いている点では、なるほど!と思わせる箇所が多々ありました。

★★★★・・・自分の考え、行動に変化をもたらすようなことだが、ショックを受けるまでにはいかないことの場合。

特に、下記の3点について感じました!

1)改ざん等で真実を隠して取得したもの(売上、利益、人など会社の資産となるものすべて)は、すぐに失くなる

2)どんなに不利益なことを要求されようとも、自分の信条を曲げて、(バレなければいい、会社の利益になればいいというような理由で)取り組む必要はない

3)地位に固執するな、形式に固執するな、金に固執するな、他人を羨ましいと思うな、ということを念頭に置き、私という人間だけを見て、付き合ってくれる人を大切にすべき

会社組織にいますと、時として、要領がいい人、Yes manが出世していくことが多いように感じますが、そうでもありません。バカ正直な自分を見ていくくれる上司が必ずいるものです。

そんな人としての原点に立ち戻らせてくれる映画でした。